無線LANとは、有線を必要としない電波通信によるLANのことです。
無線LANの接続方法や規格、チャネルなど、基礎知識を説明していきます。
接続方法
無線LANにおける接続方法には、インフラストラクチャモードとアドホックモードの2種類があります。
それぞれについて説明していきます。
インフラストラクチャモード
インフラストラクチャモードは、無線LAN端末がアクセスポイントを経由して通信する方法です。
無線LANで通信する場合、基本的にはアクセスポイントを経由するため、インフラストラクチャモードが主流です。
Wi-Fiを使うときなども、アクセスポイントにアクセスしていますよね。
また、アクセスポイントに接続する際に、無線LAN端末はSSIDを指定して接続します。
SSIDとは、アクセスポイントで設定でき、無線LANのセグメントの識別に使われます。
複数のアクセスポイントを論理的に束ね、広範囲に同一ネットワークの電波を飛ばしたいときは、ESSIDをすべてのアクセスポイントに設定します。
ESSIDとは、SSIDを拡張したもので、複数のアクセスポイントに同一のSSIDを設定することで、そのSSIDが届く範囲を広げるために使われます。
また、インフラストラクチャモードには、2つの接続方法があります。
①パッシブスキャン
これは、アクセスポイントが定期的に発信している電波(ビーコン)を受信し、認識できたアクセスポイントへ接続する方式です。
②アクティブスキャン
これは、接続したアクセスポイントのSSID(またはESSID)をブロードキャストし、アクセスポイントからの応答により接続できる方式です。
このブロードキャストによる要求をプローブ要求、応答をプローブ応答と言います。
アドホックモード
アドホックモードは、無線LAN端末がアクセスポイントを経由せず通信する方法です。
こちらはあまり使われませんが、利用シーンとしては、ゲーム機での通信などです。
近くの友達と通信して遊ぶときなどは、アドホックモードが使われています。
規格
無線LANの規格は、IEEE802.11によって規定されています。
規格によって、使用する周波数帯や最大速度が異なります。
規格 | 周波数帯 | 最大速度 |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4Ghz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4G/5GHz | 600Mbps |
IEEE802.11ac | 5GHz | 6.93Gbps |
【特徴】
・2.4GHz帯
直進性は弱いが、電波の回り込みが大きいため、障害物などがあってもある程度電波が届きやすい
・5GHz帯
直進性が強いが、電波の回り込みが少ないため、障害物などには弱い
状況や環境によって、使い分けが必要ですね。
変調方式
無線LAN(IEEE802.11b以外)における変調方式は、OFDMという方式が用いられます。
OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing
OFDMとは、直行周波数分割多重方式のことで、複数のサブキャリアと呼ばれる周波数帯を同時に使用することで、通信速度を高める方式です。
Wi-Fi
Wi-Fiとは、無線LAN製品の中で、「Wi-Fi Alliance」という団体によって認定された製品のことを指しており、Wi-Fi認定された機器同士は、相互に接続できることが保証されます。
チャネル
チャネルとは、各周波数帯に設定されている複数の伝送路のことです。
チャネルは、重なっていなければ同時に利用することができます。
例として、IEEE802.11gのチャネル構成で説明します。(以下の図)
この場合、チャネル1/6/11という組み合わせや、チャネル2/7/12という組み合わせだと3チャネル同時に利用することができます。
利用できないのは重なっているチャネルなので、チャネル6を利用する場合、重なっているチャネル2〜10は利用できません。
高速化技術
チャネルボンディング
チャネルボンディングとは、帯域が隣り合う複数のチャネルを1つにまとめることです。
これにより、チャネル間の境界領域(ガードバンド)も有効活用することができ、2つのチャネルをまとめた場合に2倍+αの伝送速度を得ることができます。
チャネルボンディングに対応している規格は、以下の2つです。
①IEEE802.11n
2チャネルをまとめる2チャネルボンディングが可能
②IEEE802.11ac
4チャネルボンディングや8チャネルボンディングも可能
MIMO
MIMOは、複数のアンテナから同一周波数帯の電波を同時に飛ばすことで、無線LAN通信の高速化を実現する方法です。
MIMO:Multiple-Input and Multiple-Output
通信としては、無線端末が1対1での通信になります。
無線端末内に複数のアンテナがあり、それを同時に利用するイメージです。
MIMOにおいて、1つの電波をストリームと言います。
アンテナを4つ使って電波を飛ばす場合、4ストリームということになります。
(1ストリームにつき、送信用アンテナ1つと受信用アンテナ1つ)
MIMOに対応している規格は、以下の2つです。
①IEEE802.11n
最大4ストリームでの通信が可能
②IEEE802.11ac
最大8ストリームでの通信が可能
また、MIMOを1対1ではなく複数の無線端末で利用できるようにした拡張方式が、MU-MIMOです。
MU-MIMO:Multi User MIMO
その中でも、アクセスポイントから無線端末へのダウンリンクに通信にのみ対応しているMU-MIMOを、DL MU-MIMOと言います。
DL:Down Link
DL MU-MIMOは、IEEE802.11acでのみ対応しています。
最大8ストリームの範囲内で、最大4台の端末に向けて通信ができます。
1台あたりの最大ストリーム数は、4になります。
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