【データリンク層】CSMA/CA方式

基礎

ここでは、無線LANにおける衝突(コリジョン)回避について説明します。

CSMA/CA方式

「CSMA/CA方式」とは、無線LANで採用される、通信の衝突(コリジョン)を回避する方式のことです。
(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)

CSMA/CA方式の目的:通信の衝突(コリジョン)によるデータ通信の失敗を防止すること

具体的な動作の流れは、以下の通りです。

①通信経路(搬送波)の状態を確認し、使える状態になるまで待機する
②通信経路(搬送波)が使える状態になったら、データ通信を開始する
③宛先の無線端末はフレームを受信したら、通信が正常にできたことを通知する「ACKフレーム」を通信経路(搬送波)上の全端末に送信する

宛先の端末からACKフレームが返ってこない場合、衝突(コリジョン)が発生したことになります。

①において、通信経路(搬送波)上にデータ通信している無線端末が存在する場合待機するのだが、待機の方法も定められています。
具体的には、バックオフと呼ばれるランダムな時間待機を繰り返すのだが、バックオフは徐々に短くなっていくように制御される仕組みになっています。
イメージとしては、5秒待機して確認、次は3秒待機して確認、次は2秒待機して確認、次は、、、といった認識でOKです。

また、データ通信をする際に、フレームのヘッダに「予約時間」を含めることができます。
予約時間を認識した無線端末は、予約時間が経過するまではデータ通信を開始しないように制御されます。

隠れ端末問題

無線LANでは、電波の状況によってお互いの端末を認識できないという問題が発生することがあります。

これを「隠れ端末問題」と言います。

お互いの端末を認識できないとCSMA/CA方式による衝突(コリジョン)回避の仕組みが動作しないため、衝突(コリジョン)が発生してしまいます。

この問題が発生するのは、以下のような場合が挙げられます。

・端末同士が遠すぎて、電波が届かない
・壁などの遮蔽物によって、電波が届かない

要するに、電波が届かない状況になってしまうと、隠れ端末問題が発生してしまいます。

CSMA/CA with RTS/CTS

「CSMA/CA with RTS/CTS」とは、CSMA/CA方式にRTS/CTS制御を付け加えた方式のことです。

CSMA/CA with RTS/CTS方式の目的:隠れ端末問題に対応すること

RTS/CTS制御は、通信を開始する前に、通信を制御している機器(無線ルータなどのアクセスポイント)に「通信の許可」を得る方式です。
通信の許可は、すべての端末に通知されるため、許可を得た端末だけが通信を開始でき、その他の機器は待機状態になります。

これにより、衝突(コリジョン)を回避します。

具体的な動作の流れは、以下の通りです。

①データ通信を開始したい端末からアクセスポイントに対し、「送信要求(RTS)」を送信する
②アクセスポイントからすべての端末に対し、「通信の許可(CTS)」を送信する
③通信を許可された端末以外は、待機状態になる
③通信を許可された端末は、データ通信を開始する
④データ通信完了後、アクセスポイントからすべての端末に確認応答ACKを送信する
⑤待機状態の端末は、待機状態を解除される

以上が、無線LANにおける衝突(コリジョン)回避の方式になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました