【ネットワーク層】IPv4アドレス

基礎

IPv4アドレス

基本的な知識

IPアドレスとは、ネットワーク上で、ホストを一意に識別するためのアドレスのことです。

日常生活で例えるなら、住所ですね。
それぞれの家の場所を特定するための情報、といったイメージです。

IPv4アドレスとは、IPアドレスのうち、バージョン4のIPアドレスのことです。
※バージョンは、4と6があります。

IPv4アドレスは、32bitで表され、以下のような構成になっています。
「X」には「0」か「1」が入ります。

XXXXXXXX(8bit) XXXXXXXX(8bit) XXXXXXXX(8bit) XXXXXXXX(8bit)

そして、8bitごとの数字を10進数にすることで、IPv4アドレスを表記することができます。

例えば、以下の場合のIPv4アドレスは、「192.168.1.1」になります。

11000000 10101000 00000001 00000001

次に、「ネットワーク部」と「ホスト部」についてです。

ネットワーク部とは、IPアドレスのうち、ネットワークを識別するためのアドレスです。
ホスト部とは、IPアドレスのうち、一意のホストを識別するためのアドレスです

IPv4アドレスが「192.168.1.1」、サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、ネットワーク部は「19.168.1.」を示し、ホスト部は残りの「1」となります。
※サブネットマスクについては、後で説明していきます。

次に、ホストに対してのIPv4アドレスの割り当て方についてです。

ホスト部が全て「0」のアドレスを「ネットワークアドレス」と言い、ネットワークそのものに設定されるIPアドレスになります。

また、ホスト部が全て「1」のアドレスを「ブロードキャストアドレス」と言い、ネットワーク内の全てのホストに通信したいときに使用されます。

よって、ネットワーク内のホストに割り当てることができるIPv4アドレスは、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを除いた範囲になります。
ホスト部がnビットのとき、割り当て最大数は「2^n-2」個です。

IPv4アドレスが「192.168.1.1」、サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合の例を、以下に示します。

IPv4アドレス ホスト部 説明
192.168.1.0 00000000 ネットワークアドレス
192.168.1.1〜254 00000001〜11111110 ホストに割り当て可能なアドレス
192.168.1.255 11111111 ブロードキャストアドレス

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレスとは、自分で設計・構築したネットワーク内で自由に設定できるアドレスのことです。

インターネットへの公開はできませんので、自分で設計構築したネットワーク内でのみ使うようにする必要があります。

プライベートIPアドレスを使うことで、構築したいネットワークの仕様や構成に合わせて、柔軟に設定することができます。

使用して良いIPアドレス範囲は決まっており、以下のようになっています。

ネットワークアドレス 使用できるIPアドレスの範囲
10.0.0.0/8 10.0.0.0〜10.255.255.255
172.16.0.0/12 172.16.0.0〜172.31.255.255
192.168.0.0/16 192.168.0.0〜192.168.255.255

グローバルIPアドレス

グローバルIPアドレスとは、インターネット上で通信をするためのアドレスです。

国際機関であるIANA(Internet Assigned Numbers Authority)がグローバルIPアドレスを管理しており、割り当てをしている。
日本では、IANAの下部組織であるJPNIC(Japan Network Information Center)がグローバルIPアドレスの割り当てをしている。

グローバルIPアドレスは、インターネット上で一意であり、それをIANAが保証することで通信が成り立っている。

ループバックアドレス

ループバックアドレスとは、ホスト自身を示すIPアドレスのことです。

アドレスは、「127.0.0.1」が使われます。
このアドレスは、「localhost」というホスト名で登録されています。
※実際は、「127.0.0.0/8」の範囲で指定できますが、一般的には上記のアドレスが使われます。

使用用途としては、「ネットワークのテスト」や「ホスト自身の正常性の確認」です。

メリットとしては、ホスト内部で通信が完結するため、ネットワークへの影響がないことです。

サブネット化

1つのネットワークを複数のネットワークに分割するとき、分割後のそれぞれのネットワークをサブネットワーク、分割することをサブネット化と言います。

ホスト部のアドレスの中の上位のビットをネットワーク部とすることで、サブネット化を実現します。

ホスト部の上位ビットのうち1つをネットワーク部とすることで、ネットワークを2つに分割できます。
2つをネットワーク部としたら、ネットワーク4つに分割できます。

ビットが「0」か「1」の2通り(2進数)で判別されるため、ホスト部から上位nビットをネットワーク部にした場合、2のn乗個にネットワークを分割することができます。

例として、ネットワークアドレス「192.168.1.0」、サブネットマスク「255.255.255.0」のネットワークを、4つにサブネット化してみたいと思います。

4つに分割したいため、ホスト部の上位2ビットをネットワークアドレスにします。
そうすると、サブネットマスクは「255.255.255.192」になります。
よって、4つのサブネットワークは、以下のようになります。

ネットワーク名 ネットワークアドレス 使用できるIPアドレス サブネットマスク
A 192.168.1.0 1〜62 255.255.255.192
B 192.168.1.64 65〜126 255.255.255.192
C 192.168.1.128 129〜190 255.255.255.192
D 192.168.1.192 193〜254 255.255.255.192

サブネットマスク

サブネットマスクとは、IPアドレスの中の「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を示すものです。

ネットワーク部を「1」、ホスト部を「0」として表記します。

例えば、「192.168.1.0」のIPアドレスがあるとします。
サブネットマスクが「255.255.255.0」だった場合、ネットワーク部は前から24bitで、ホスト部は残りの8bitであることがわかります。

CIDR

CIDRとは、IPアドレスにおけるクラスレスの考え方です。

クラスとは、以下の表のようにIPv4アドレスを規定したものです。

クラス サブネットマスク IPアドレス 用途
A 255.0.0.0 0.0.0.0〜127.255.255.255 ユニキャスト
B 255.255.0.0 128.0.0.0〜191.255.255.255 ユニキャスト
C 255.255.255.0 192.0.0.0〜233.255.255.255 ユニキャスト
D 255.255.255.0 224.0.0.0〜239.255.255.255 マルチキャスト
E 255.255.255.0 240.0.0.0〜255.255.255.255 予約済み

クラスDのIPv4アドレスは、マルチキャストに使われていることは覚えておきましょう。

従来は、クラスの考え方に基づいてIPアドレスが利用されていましたが、サブネットマスクの導入によってその必要がなくなりました。

CIDRでは、表記の方法を理解しておくだけでOKです。

「ネットワークアドレス/ネットワークの長さ」という表記をします。

例としては、以下です。
ネットワークアドレスが192.168.1.0、サブネットマスクが255.255.255.0の場合、
CIDR表記:192.168.1.0/24となります。

サブネットマスクの部分を、何bitまでがネットワーク部であるか、という表現に書き換えているイメージです。

CIDR表記は一般的に使われているので、慣れておくことが必要です。

VLSM

VLSMとは、1つのネットワークに対し、柔軟にサブネットワークを構成する仕組みです。
(Variable Length Subnet Mask)

これにより、使用したいIPアドレスの個数ごとに適切なサブネットワークを構成することができ、IPアドレスを効率よく使用することができます。

例えば、1つのネットワーク(192.168.1.0/24)の中に3つのサブネットワーク(A,B,C)を作るとします。
それぞれのサブネットワークにおいて、使いたいIPアドレスの個数が以下であると仮定します。
サブネットワークA:使いたいIPアドレスは10個
サブネットワークB:使いたいIPアドレスは25個
サブネットワークC:使いたいIPアドレスは100個

この場合、サブネットワークを以下のように割り当てることができます。
サブネットワークA:192.168.1.0〜192.168.1.63(192.168.1.0/26)
サブネットワークB:192.168.1.64〜192.168.1.127(192.168.1.64/26)
サブネットワークC:192.168.1.128〜192.168.1.255(192.168.1.128/25)

要するに、サブネットマスクを柔軟に変更して割り当てることができるということです。

スーパーネット化

スーパーネット化とは、ルータにおいて、複数のサブネットワークをまとめて1つのネットワークとして集約することです。

これにより、ルータ間での情報交換などにおいて通信を減らすことができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました